JAIWR NEWS
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〜No.5 2003年3月号〜

日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク
JNNCが誕生!

国際女性の地位協会の呼びかけにより、国連女性差別撤廃委
員会における日本レポート審議にむけて国内のNGOが連携
 
2002年9月、日本政府は第5回の女性差別撤廃条約実施状況報告書を国連に提出しました。この報告書は第4回報告書とともに、2003年夏ニューヨークで開催される第29会期国連女性差別撤廃委員会において審議されます。
前回(1994年)報告書審議の際、日本のNGOはそれぞれがカウンターレポートを提出しましたが、今回は、できるだけNGOが連帯して行動する方が効果的ということで、当協会は<NGO集合!女性差別撤廃委員会による日本レポート審議に向けて>と、日本各地のNGOに呼びかけをしました。
 その結果、昨年12月23日(午後1時〜5時)、東京ウイメンズプラザにおいて下記の団体が参加して、話し合いが行われました。今後は、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(Japan NGO Network for CEDAW=JNNC)として連携し、カウンターレポートの提出、女性差別撤廃委員会へのロビー活動、そして女性差別撤廃委員会の傍聴などを行うことになり、すでに活動が行われています。
<12月23日・参加NGO>
アジア女性会議ネットワーク、神奈川女性会議、均等待遇アクション2003、高齢者雇用開発協会、シェル石油裁判原告、自由人権協会、女性労働問題研究会、新日本婦人の会、世界女性会議NGOネットワーク関西(ネッカン)、日本婦人会議・北京JAC、日本婦人団体連合会(婦団連)、日本弁護士連合会(日弁連)、売買春に取り組む会(取り組む会)、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)、友和会、ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)
 
〜〜 JNNC 早速 ロビー活動を開始 〜〜
日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(以下JNNC)は、2003年1月17日、内閣府2階男女共同参画局長室において、坂東真理子内閣府男女共同参画局長、高安雄一男女共同参画推進官と面会の上、下記について要望しました。

 

<1月17日参加者>JNNCメンバーは、山下泰子(呼びかけ人・国際女性の地位協会)、矢澤澄子(国際女性の地位協会)、清水澄子(日本婦人会議・北京JAC)、紙谷雅子(自由人権協会)、平野恵美子(新婦人の会)、斎藤誠(日本弁護士連合会)、斎藤文栄(福島瑞穂事務所)<順不同>

JNNCからの要望と坂東局長の解答
(1)女性差別撤廃委員会の日本レポート審議にかかわる情報をできるだけ公開していただきたい。
【坂東局長】レポート作成の際と同じように、できるだけ情報を開示するよう考慮する。なお、質問票の答えについては、各省庁との調整をする必要があり、スケジュール調整に時間がかかりそうである。
(2)女性差別撤廃委員会作業部会からの質問票を中心に、NGO・国会議員・政府関係者で検討会を開催したいので、ご協力いただきたい。
【坂東局長】誠実に対応したい。
(清水澄子コメント:NGOと国会議員で企画し、政府に呼び掛けるような形になる。)
(3)日本担当になる女性差別撤廃委員会委員を、5月頃に日本に招聘してほしい。その際、NGOが東京、大阪、九州などで、複数の話し合いの機会をもつのにご協力いただきたい。
【坂東局長】CEDAWの日本担当者をお呼びするのは、いかがなものかと思う。
(原由利子コメント:CEDAW議長が変わったところなので、Feride Acar新議
長(トルコ)をお招きして、日本の現状を知っていただくのはいかがか。)
【坂東局長】検討する。
(4)女性差別撤廃条約選択議定書の署名・批准にむけた取組を強化してほしい。
【坂東局長】否定はしていない。しかし、「司法権の独立」を侵す恐れがあるという意
見もあり、運用の実態を見極めたい。
(5)第29会期女性差別撤廃委員会の開催中、ニューヨークで政府関係者とNGOの懇談会を開いてほしい。
【坂東局長】CSWの時も会期中2回は、政府とNGOとの意見交換会をやっている。CEDAWの場合も可能だと思う。外務省とも相談してみる。
(6)その他:(原由利子)社会権規約の日本レポート審議では、日本語の同時通訳が行われた。女性差別撤廃条約の審議の場合にも、ぜひお願いしたい。(参加者全員賛成)
【坂東局長】そのような要望があったことを外務省に伝える。                         以上

 
 
国連女性差別撤廃委員会28会期終了後行われる、29会期に向けての作業部会において、NGOブリーフィングがもたれるという情報のもと、JNNCはロビイ活動を行うことにし、実際にニューヨークに行けるメンバーを中心に、1月27日、中央大学市ヶ谷キャンパスで打ち合わせをしました。
 


予想以上の時間で、充実した話し合い
女性差別撤廃委員会(CEDAW)会期前作業部会への
2月3日(月)15:00-16:00  NY国連本部第9会議室
2月3日のCEDAW作業部会へのNGOブリーフィングは、日本(JNNC)のみの参加だったため、15:00から16:00までの1時間をすべて日本にあてるという、恵まれたものでした。5団体は25分ほどの発表を行い、その後40分にわたって、下記の件に関して、質疑応答がおこなわれました。
 
〜〜〜 CEDAW 会期前作業部会へのJNNCによるブリーフィング内容 〜〜〜
女性差別撤廃委員側出席者/4名
Mr. Golan Melander (スウェーデン)議長、Ms. Sjamsiah Achmad (インドネシア)、
Ms.Maria Yolanda Ferrer Gomez (キューバ)、Ms.Fatima Kwaku (ナイジェリア)

JNNCの5団体/13名
JAIWR:大石由紀、山下泰子*、渡辺美穂*、JFBA:安藤ヨイ子*、寺澤勝子、三木俊博、WWN:越堂静子、正路怜子 西村かつみ 石田絹子、JCLU:斎藤文栄*、IMADR:東澤靖 (*発表者)

 
  ■ 国内人権救済機関の独立性は担保されていますか?
■ 日本政府は政府レポートを作成するにあたって、NGOからの情報を求めましたか?
■ 日本におけるトラフィッキングの現状は?被害にあっている女性の数は?
■ 児童ポルノのような、子どもに対する搾取はどのようなものがありますか?
■ 日本のマイノリティー女性について説明してください。
■ 日本における貧困の状況は?数値はありますか?日本政府の貧困に対する対策は?
■ ILOが午前中に日本の状況に関するブリーフィングを行ってくれたが、パートタム労働者の状況は実際どの程度深刻なのですか?特に、週38時間から40時間も働いてパートタイム労働者と呼ばれるというのは本当ですか?
■ 移住労働者についての状況は?
■ 日本は国連の先住民に関する条約の批准予定はありますか?
■ セクハラに関する法律はありますか?
最後に議長からは、NGOの完全なレポートをなるべく早い段階で、できれば29会期の一ヶ月前には送付してほしいとの要請がありました。その後、事務局から、NGOとして一括したレポートを事務局宛てに発送してくれればそれを委員に転送するので、日本のNGOとしてまとめて送ってほしいとの要請がありました。 




〜〜〜〜〜 JAIWRメンバーNYに飛ぶ 〜〜〜〜〜
JNNCとともにCEDAWでロビー活動
CEDAW29会期の日本政府第4次・5次レポート審議に向けて、JAIWRから4名(山下泰子、大石由紀、西川えり/NY在住、渡辺美穂)が、JNNCメンバーの日弁連、WWN、自由人権協会、反差別国際運動日本委員会の代表ら総勢13名で、事前作業部会のNGOブリーフィング(2月3日(月) NY国連本部第9会議室)に出席した。それに先だって、『国際女性』16号掲載のカウンターレポートの重点項目を英訳した要約版は、28会期の最終日(1月31日)に全委員に手渡した。
一方、斎賀富美子委員とインドネシアのシャムシア・アーマッド委員とはそれぞれ食事会で、意見交換をした。アーマッド委員は、各国政府との「建設的」対話を重視していたが、今期から委員の質問回数も厳しく制限されるということで、NGO側も効果的なロビイング戦略を練る必要を痛感した。29会期を目前にして、今後議員や草の根女性を巻き込みながら、国内での条約普及を一層強化させたい。
 
TOPICS
■当協会監事の鳥居淳子さん(成城大学教授)が本年2月5日より法制審議会会長になられました。
■鳥取県議会議員選挙に当協会の設立時からのメンバーの尾崎薫さんが立候補します。みんなで応援しましょう!
■佐世保市で「出前講座」開催(2002年11月30日)佐世保市男女共同参画推進センター「スピカ」の主催で、佐世保市男女共同参画宣言都市一周年記念シンポジウム「考えよう男女共同参画・明るい未来にむけて 〜職場・学校・地域から〜」が行われ、350人の参加者で満員となりました。光武顕市長の挨拶の後、赤松会長の基調講演があり、男女共同参画社会の実現の大切さや、平等が平和なしには成り立たないことが強調されました。続いて、トークパフォーマンス「こんにちは赤ちゃん」では、初めての堀口・田中ペアが、新作を披露。パネルディスカッション(山下泰子、高岡日出子、堀口悦子、田中恭子)では、職場・学校・地域・家庭での男女共同参画の実現について話し合い、会場からは多くの質問や意見が相つぎ、活発な意見交換が行われました。
■With Youさいたま(埼玉県男女共同参画推進センター)主催「世界からの風をうけてー考えよう男女共同参画・明るい未来にむけて」が3月1日に開催されました。赤松会長の基調講演の後、山下泰子さん、阿部浩己さん、矢澤澄子さんによるパネルディスカッションが行われました。
 
<松井やよりさんの思い出>
「女性差別撤廃条約選択議定書」に思いを残して逝く
2002年12月27日に、松井やよりさんがガンで亡くなられた。昨年10月28日に彼女の病気の回復を願う会が開かれたときには、いつもと変らずお元気な様子だったのに、本当に残念である。
松井さんは朝日新聞の記者として、日本が女性差別撤廃条約を批准するために、懸命に記事を書いてくれたことを忘れてはならない。同条約の選択議定書の批准にも深い関心を寄せていた。女性2000年会議の際、ニューヨークの国連本部の横で、松井さんとお会いし、久しぶりにお話をした。あのとき松井さんは「あなたはあなたのできること、議定書の批准をやって!」とおっしゃっていた。今から思えば、遺言のように議定書の批准を託されたような気がする。彼女の思いを早く実現したいと切に思う。松井さんのお父様をはじめご家族で力を合わせて開いた山手教会での、12月30日の告別式には、約千人もの人たちが集まり、故人の幅広い交友を実感した。
 
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