日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク
Japan NGO Network for CEDAW (JNNC)

【日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)訳】
CEDAW/PSWG/2003/II/CRP.1/Add.3
2003年2月7日  正文:英語
先行・未編集版
「定期レポートの審議に関する課題および質問事項一覧:日本」

1. 会期前作業部会は、第4次、第5次日本政府レポートを審議した。(CEDAW/C/JPN4およびCEDAW/C/JPN/5)

 

課題と質問
(文中のページは、英語版日本政府レポートに基づいている。)

* 各質問の見出しおよび該当箇所は、訳者がつけたものです。<>内の該当箇所は、日本語版日本政府レポートの項目を示しています。C=第4次レポート D=第5次レポート


【法制度と国内本部機構】

2. 間接差別<D第11条1(4)オ)>
第5次レポートの64ページにおいて、間接差別の定義に関しては社会的コンセンサスがいまだ得られておらず、厚生労働省では、現在、諸外国の施策や判例の動向、事例の収集に努めているところであり、引き続き検討を行うと報告されている。この点に関して、現行法制を改正するため、もしくは新法案を導入するためにとられた取組みについての情報を提供してください。

3. ナショナル・マシーナリー<D第2条1(1)>
いずれも男女共同参画局を事務局としている、新設の「男女共同参画会議」と「男女共同参画推進本部」の関係を明らかにしてください。第5次レポートの15および16ページにおいて、男女共同参画会議と男女共同参画推進本部の意見や決定について言及されている。これらの意見や決定の効力と、これらの効果はどのように監視されるのかを説明してください。

4. オンブズパーソン<C第2条(c)(1)>
第4次レポートの17ページは、「男女共同参画2000年プラン」に、男女間の不平等に係わる問題の解決に当たるオンブズパーソンについて、日本への導入可能性に関する調査研究を行うという提言が含まれていると述べている。そのような調査は実施されたのか?もしそうであれば、オンブズパーソンの設置に関して、どのような勧告がなされたのか?

5. 地方公共団体における男女共同参画基本計画の策定状況<D第2条2(3)>
第5次レポートの18ページは、すべての都道府県が、2000年12月に閣議決定された男女共同参画基本計画に即した男女共同参画計画を策定している一方、2001年4月現在、市町村では、わずか19.4%しか独自の男女共同参画計画を策定していないと報告している。より多くの地方自治体に計画を策定させるために、どのようなことが行われ、もしくは検討されたのか?

6. 苦情処理・監視専門調査会<D第2条3(1)イ)>
第5次レポートの19ページに、苦情処理・監視専門調査会が、男女共同参画社会基本法に規定されている政府の施策についての苦情処理および人権が侵害された場合における被害者の救済について、調査・検討を行っていると記載されている。その調査・検討の結果とは、どのようなものか?

7. 人権擁護機関<D第2条3(2)ア)>
2002年3月に政府が、現行の人権擁護制度を抜本的に改革するため、人権擁護法案を国会に提出したことが報告されている(第5次レポートの20ページ参照)。この法案は、報告によると、人権侵害による被害の適正かつ迅速な救済と実効的な予防を提供する人権委員会の設置を図っている。法案の現在の状況についての情報および法案の規定のうち、特に女性の人権の侵害に関するものについて、詳細な情報を提供してください。


【女性に対する暴力】

8. 夫婦間レイプ、家庭内における暴力<D第2条4(1)ア)>
強姦罪に関する刑法177条について、この条項のもとで、婚姻関係における強姦は起訴されうるのか、また、(実際に)起訴されてきたのかという点も含めて詳細な情報を提供してください。婚姻関係におけるレイプとドメスティック・バイオレンスに関連して開始された訴訟手続の件数についての詳細な情報を、有罪判決の件数と刑罰の内容を含めて提供してください。さらに、家庭内における暴力、特に、そのような暴力が女性、子ども、高齢者に対してなされたものであるかどうかについて、可能であれば、被害者と加害者の関係についての情報も含め、詳細な情報の提供がさらに求められる。近親姦は罰せられているのか?

9. 「女性に対する暴力に関する専門調査会」<D第2条4(4)ア)(i)>
第5次レポートの24ページにおいて、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の円滑な施行に向けて」と題された「女性に対する暴力専門調査会」の報告書について言及されている。この報告書にもりこまれている勧告およびその履行状態についての情報を提供してください。

10. セクシュアル・ハラスメント<D第2条4(6)ア)およびイ)>
セクシュアル・ハラスメントの個々の事例における刑法規定の執行に関して、詳細な情報を提供してください。加えて、男女雇用機会均等法のもとでのセクシュアル・ハラスメントに関する雇用主の義務を明らかにしてください。


【ステレオタイプ】

11. 固定的性別役割分担意識<D第5条(a)1(1)および2(1)>
第5次レポートの37ページにおいて、固定的な性別役割分担意識は、長い時間をかけて形成、標準化されてきており、男女共同参画社会にとって重大な障害となっていると記載されている。また、これに関して、影響調査専門調査会が、政府の施策を始めとする、女性のライフスタイルの選択に大きな影響を持つ諸制度について調査検討を行っていることが報告されているが、この調査会の結論について、情報を提供してください。


【売買春とトラフィッキング】

12. 外国人女性の権利<D第6条1(2)>
日本において売春に従事している、もしくは強制的に従事させられている非登録外国人移民やトラフィッキングの被害にあった女性を含む外国人女性の状況について情報を提供してください。彼女たちは、国外退去手続がとられている期間も含めて、保健医療、一時保護施設、その他の社会的サービスへのアクセスを保障されているか?また、周旋人やブローカーと同様に、女性たちも起訴されるのか?

13. 国外犯の起訴<児童買春については、D第6条2(1)ア)>
国外で、成人女性と少女、もしくはその一方を搾取した日本国民に対する起訴が、日本においてなされたかどうか、情報を提供してください。


【雇用と教育】

14. 職場におけるポジティブ・アクション<D第4条3(1)ア)>
2001年に設置された女性の活躍推進協議会の構成とメンバーはいかなるものか?(第5次レポートの35ページ参照)

15. 大学教員<D第4条3(1)イ)>
日本の大学における女性教員数引き上げのための達成目標の設定に加えて、大学は、第5次レポートの36ページに報告されている女性教員の低比率(2001年で9.5%)の問題に取り組むために、条約の第4条1項に沿った暫定的な特別措置のさらなる利用を検討しているか?

16. 女性起業家等への支援<D第4条3(2)ア)およびイ)>
経済産業省の女性起業家に対する低利貸付による効果はあったか?起業を希望する女性を対象にした「女性と仕事の未来館」の支援事業についての評価は行われたのか?(第5次レポートの36ページ参照)もし行われたのであれば、その結論はどういうものか?

17.教育におけるステレオタイプ <D第10条1(3)ア)>
性別に基づく固定的役割分担意識を排除し、個性を尊重する教育制度を、家庭及び地域で推進するための調査研究事業が行われたことが、第5次レポートの58ページに記載されている。この調査研究の結果はどのようなものか?

18.雇用における女性差別 <D第11条1−1(1)>
現在の雇用状況において、採用選考の段階で女子学生が不利な取り扱いを受けている事例、及び、妊娠・出産を理由とした解雇や、退職・解雇に関して女性に対して男性と異なる取り扱いをする事例が見られることが、第5次レポートの61ページに示されている。これらの問題に対して、政府はどのような対策を講じているのか?

19.パートタイム労働者 <D総論2(3)および第11条1−2(1)>
「パートタイム労働者は、我が国経済社会において大きな役割を果たしているものの、一般労働者と比較して、処遇や雇用の安定の面で問題がある」と、第5次レポートの11ページに記載されている。この問題についての詳しい状況と、女性パートタイム労働者の処遇や雇用の安定を改善するために、政府はどのような対策を講じているかということについての情報を提供してください。パートタイム労働政策のあり方を見直すために設置されたと報告されている(第5次レポートの64ページ参照)研究会からは、どのような結果が出されているのか?

20.派遣労働 <D第11条1−2(2)>
第5次レポートの65ページに述べられている「派遣労働者」という言葉の意味について明確な説明を求める。派遣労働者とパートタイム労働者の雇用状況とはどのように違うのか?すべての職種において、現在の労働市場における女性のキャリアアップの機会についての状況を、男性と比較して、詳細に説明してください。

21.裁判官・検察官<D統計資料63、64>
第5次レポートの統計資料には、裁判官、検察官および警察官の男女比が不均衡であることが示されている。この不均衡を是正するため、条約第4条1項に規定されている暫定的な特別措置を含めて、どのような対策を検討しているのか?

22.賃金格差 <D第11条1(d)−1>
厚生労働省が、男女の賃金格差の原因について分析し、企業の賃金・処遇制度等による男女間の賃金格差への影響を把握するための研究会を発足させたことが、第5次レポートの68ページに記載されている。この研究調査の結果はどのようなものか?また、研究会は男女間の賃金格差を縮めるための具体策を提案したのか?


【公的活動と意思決定への参加】

23.地方自治体レベルの審議会委員 <D第4条2(1)>
地方自治体の審議会等における女性委員の割合は、国の審議会等よりも低いということが、第5次レポートの34ページに示されている。地方自治体の審議会等への女性の参加を高めるために、政府は、条約4条1項に規定されている暫定的な特別措置の導入を検討しているか?

24.GEM <D第7条1>
GEM(ジェンダーエンパワメント指数)上位先進国に比べて、日本は、「国会の議席数に占める女性の割合」及び「行政職及び管理職に占める女性の割合」が低いことが、第5次レポートの49ページに報告されている。この点に関して、日本の順位を高めるために政府が実施あるいは検討している対策をくわしく説明してください。

25.大使・外交官 <D第8条1(3)イ)およびウ)>
第5次レポートの53ページに報告されている、女性大使および外務省や在外公館の女性職員の人数を増やすために、具体的にはどのような対策が講じられているのか?


【健康】

26.健康支援 <D第12条1(2)>
生涯を通じた女性の健康支援事業が2000年度に27か所の都道府県・指定都市で実施されたことが、第5次レポートの75ページに報告されている。この事業は、2000年以降の2年間に全国でさらに拡大されているのか?

27.10代の望まない妊娠と性に関するハンドブック <D第12条1(4)ア)>
10代の望まない妊娠が増加しており、この傾向をくい止めるために、政府は、地方公共団体に対して「思春期の性と健康に関するハンドブックの作成」を求め、作成のための指針を提示したことが、第5次レポートの76ページに記載されている。すべての地方公共団体がこのようなハンドブックを作成しているのか?政府はどのようにハンドブックの効果をモニターしているのか?

28.HIV/AIDS<D第12条2(1)>
HIV/AIDS感染者数が増加する中で、HIV/AIDSにかかるリスクが高いと考えられている女性や少女のために、政府はどのような対策を取っているのか?弱い立場にある女性や少女に、特に重点をおいた予防および治療プログラムについて情報を提供してください。



【婚姻と家族法における平等】

29.民法改正<D第16条1>
法制審議会によって作成され、1996年2月に法務大臣に提出された、婚姻最低年齢、女性の再婚禁止期間および夫婦の氏を取り上げた「民法の一部を改正する法律案要綱」(第5次レポートの85ページ参照)についての進捗に関して、最新の情報を提供してください。

【障害を持つ女性】

30.障害を持つ女性 <D第3条1(1)ア)>
「障害者対策に関する新長期計画」(第5次レポートの31ページ参照)の中で、弱い立場にある障害を持つ女性への取り組みとして、政府が、特に女性に焦点を絞った対策を取っているかどうかについて、情報を提供してください。


【選択議定書と条約第20条1項】

31.選択議定書
条約の選択議定書の批准に関する問題に関して、日本政府の検討状況の進展について、最新情報を提供してください。

32.条約第20条1項
委員会の会期について規定している条約第20条1項の改正の受諾に関する進展について、説明してください。



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