JNNC代表世話人 山下泰子
1)「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」(JNNC)は、第29会期女性差別撤廃委員会(CEDAW)における日本レポート審議に関心をもつNGO(現在45)によって結成された。日本NGOレポートの作成、CEDAWへのブリーフィング、CEDAWによる日本レポート審議の傍聴(57人参加)、衆参女性議員懇談会との共催による省庁交渉、記者会見、各地での報告会、『女性差別撤廃条約とNGO』(明石書店、2003年)の出版等の活動をしており、今後も定期的にCEDAW「最終コメント」の実施をモニターしていく予定である。
2)今回、男女共同参画会議苦情処理・監視専門調査会が、はじめて「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」(案)を策定されたこと、およびその内容に、昨年8月にCEDAWから発出された日本政府への「最終コメント」の検討をいち早く取り入れられたことを賞賛したい。
3)しかし、女性差別撤廃条約に基づく国内法制の見直しは、すでに北京行動綱領パラグラフ230(g)により、「女性差別撤廃条約の締約国である場合は、同条約に規定された義務との一致を確保するため、すべての国内法、政策、慣行及び手続きを見直し、同条約を実施すること」と規定されているところであり、CEDAWの「最終コメント」も含めて、さらに包括的な検討が必要である。
4)とりわけ直近のCEDAWの審議については、@第4次・第5次日本政府レポート、ACEDAW第29会期作業部会からの日本への質問事項に対する政府回答およびNGO回答、BCEDAW第29会期617/618会合における日本レポート審議(ABとも、国際女性の地位協会編『国際女性』17号、尚学社、2003年に掲載)等を、NGOからのヒヤリングも含め、さらに詳細かつ総括的に検討することが必要である。したがって、今後の方向性として、女性差別撤廃条約専門調査会を設置するなどの措置をとり、継続的にこの問題の検討をしていくことを強く要請したい。
4)たとえ国際基準の国内への取り入れという事項であっても、苦情処理にあたっては、生の情報をもっているNGOからのヒヤリングは欠かせない。この「案」をまとめられる際、パブリックコメントばかりでなく、直接NGOからのヒヤリングを実施することを求めたい。