2011年6月12日更新  

 

JNNCU(2008〜   )
日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク : Japan NGO Network for CEDAW (JNNC)



フォローアップ事項に関する女性差別撤廃委員会の評価について

JNNCの見解 (2011.11)

◆フォローアップ項目に関してJNNCが女性差別撤廃委員会に送付したレポート(2011.6)はこちら


去る2009年、国連女性差別撤廃委員会(以下、「委員会」)は、日本政府の当条約の実施状況に関する第6次報告への総括所見において、2011年8月を期限として、パラグラフ18と28の勧告の実施に関する詳細な情報を政府に求めました。
委員会は、さらに日本政府の回答(コメント)に対し、2011年11月に評価を公表しました。

T 差別的な法規定 パラ18


●パラグラフ18に関して、委員会は、不十分な履行であり、民法と戸籍法の改正が進んでいないことを指摘し、日本政府に対して1年以内に追加情報を求め、更なるフォローアップが勧告されました。具体的には、民法改正案の採択について講じた措置を再度報告するよう求めています。
しかし、改正案は1996年の法制審議会の答申に基づき15年前に作成されたものです。度重なる勧告、女性たちの要望にもかかわらず15年間が空費されたことになります。この間、民法の改正が進まないために、多くの女性が差別的法体系の下で差別を実感し、不利益をこうむってまいりました。私たちは、一刻も早く婚姻最低年齢の男女統一、選択的夫婦別姓制度の導入、嫡出でない子の相続差別の撤廃、女性のみに課された再婚禁止期間の廃止等、民法改正を直ちに実現することを求めます。委員会の再度の勧告に、日本政府は民法及び戸籍法の一刻も早い改正を実現しなければなりません。

U 暫定的特別措置 パラ28


●パラグラフ28について、委員会は勧告が履行されたと歓迎しつつ、第7次・第8次定期報告に第3次男女共同参画基本計画(以下、「計画」)の詳しい成果およびジェンダー平等の成果に至る追加的措置を示すよう求めています。
委員会は、今回は「計画」を評価したと思われますが、問題は具体的実行であり、委員会の期待を裏切らぬよう具体的で効果的な施策を講じることが必要です。しかし、2011年11月25日発表の「第3次男女共同参画基本計画における成果目標の動向」によれば、例えば、雇用分野の2つの成果目標である課長相当職以上に占める女性の割合は6.5%から6.2%、ポジティブアクション取組企業数の割合は30.2%から28.1%と共に後退しています。これらの数値は政府の施策がまったく成果目標に向かって功を奏していないことを示すものです。
現実問題として実質的平等の実現を阻む壁は高く、政府及び立法府が平等の実現にむけなすべき課題は大きく、ジェンダー平等の実現に向けた政策の優先順位を高めることが必要です。

JNNCは多くの女性と共に、NGOとして実情を示す情報をこれまで以上に委員会に提供するとともに、政府の実質的平等への施策を、今後も協力しつつ監視していく所存です。




 

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